不死鳥の涙 ーリック・シンプソン物語ー 第18章

第十八章   皇帝の崩御

 以前ハイタイムズマガジンに私の記事を書く為、スティーブ・ヘイガーがノバスコシアに来た際、我々は彼を共著者にして、私の経験と、システムがどのようにしてこの薬の使用を抑え込んできたかを、本にしようと話した。それでスティーブの提案を真剣に検討したが、目の前の事に手一杯で、そんな任務は完遂できそうにないと感じていた。その当時は、患者が引っ切り無しに訪れ、チェコツアーが迫っており、そのすぐ後にカナビスカップに出席しなければならなかった。だからその時は、本を書くことが非常に重要で、自分の言葉を広める役に立つとは分っていたが、書くことを試みる事さえ、当時は問題外だった。
 今やこれら全ては過去の事となり、私は治療する患者もなく欧州で所在無くさせられている。これは本を書く好機ではないかと思い至り、スティーブに連絡した。そして彼に腹案を説明し、草稿を出来るだけ早く仕上げて送ると伝えた。この時、二つの講演会が迫っていたので、まずそれらを終えてから、すぐ原稿に取り掛かる旨をスティーブに言い添えた。私は12月7日に盛況なセミナーをブルノで行い、10日にもプラハで講演した。それから原稿に取り掛かり、そこではたと気が付いた。今の状況で本を書くのが、非常に困難だということに。私の資料と情報源は全て、カナダに残してきてあるのだ。だから何が起こったのかという本の内容は、全て私の記憶を元に書かなければならないことになる。そして、「書く」と言う作業を適切に遂行するには、自分の家のような、快適で慣れ親しんだ環境が不可欠だ。言葉も分からない異国でスーツケース一つ、見知らぬベッドで眠ろうと頑張る状態では、創造の泉も湧き出て来てはくれない。
 草稿を書こうと頑張っている間にも私は、連邦警察の所業と襲撃を心配する、地元カナダの人達からの連絡を受け続けた。息子のマイクはちょうど連邦警察の襲撃があった日、家をチェックしようと私の自宅に向かっていた。そしてそこで、警察がお定まりのトリックをまたやろうとしている場面に出くわし、ショックを受けた。彼らは自分達の車を庭に乗り付けられるようにするため、マイクにトラックを動かすよう言ったが、マイクはキーを持っていないと言って断った。本当はどこにキーがあるかは知っていたのだが、彼らの仕事を簡単にしてやる義理は無いと考えての事だった。マイクは連邦警察に捜索令状を見せるように要求したが、彼らはそれを拒否した。当然、これは疑わしいことだ。
 数日後、彼らは遂に令状を見ることを許したが、そこでマイクは納得した。マイクによると、確かにハリファックスの判事が、この令状を出していたのだが、まず日時が一致していなかったのと、そこに記載されている家の色は、私の家の色と異なっていた。警察が他の住居の為にとった令状を、私の所有地への襲撃を正当化するのに使っている疑いがある、と息子は語った。彼が考える限り、警察が使った令状は、それが記載された紙切れ程の価値も無いものだった。もし息子の言っていることが実際に真実であるならば、私はカナダに戻っても訴追を免れるだろう。なぜなら現実の裁判では、この様な令状は許容されず、訴えは棄却されるだろうから。
 当然だがこの時点で、私はカナダの司法システムや、その行動を支配しているであろう政府を、絶対的に信用していなかった。もし、私がカナダに戻れば、警察と司法システムはどんなことをしても、私を閉じ込めようとするだろう。彼らにカナダ式の正義で、私の命を囚人の列に並ばせるのを許す気は無かったから、差し当たり、カナダに帰ることは論外だった。カナダは自分達の司法システムと刑務所を続けたらいい。私には自分の人生に残された、理性に基づく、より重要なやるべき事が山程あるのだ。私がこの本の出版に漕ぎ着けることができれば、真実が晒され万人の見る所となるだろう。何が起こっているかに大衆が完全に目覚めるまでは、多くの時間が必要ではあるが、毎日何千もの人々が目覚めている。世論という法廷が本当に重要なのだ。そして、この治療薬が本当に効果的で、簡単に製造可能であることから、この件に関する大衆の思考は私の望む方向に、日々移ってきている。だがそれでも、この問題の支援として必要となる人数が集まるには、さらに時間が掛かりそうだ。だからそれまで、カナダに帰還するという私の計画は、まだまだ先の事として棚上げされたままになるだろう。
 頭のおかしい連邦警察が、私に着せようとしている罪状について、もっと詳しく知る必要があったので、襲撃に際してマイクが目撃したこと全てを尋ねた。私の自宅で発見されたと警察が言っている規制対象銃器について何を知っているか彼に問うと、彼は答えて「父さんの家で、俺が射的に使っていたクロスボーがあっただろ。」と言った。「お前のクロスボーが俺となんの関係があるんだ?」私は欧州にいたわけだし、しかも私の知る限り、クロスボーは規制対象銃器ですらない。当時アムハーストには、取得許可等一切不要で、誰でもクロスボーが購入できる店があった。マイクによると、連邦警察が私の家で発見したと主張している規制対象銃器の内訳は、彼のクロスボーと完全に合法な私の空気銃だけだった。前回の彼らの襲撃で、これと同じ空気銃が発見されていたが、発射速度が毎秒500フィート以下だったので、押収されていなかった。カナダでは子供であっても地元の商店でこのようなライフルを買うことができるので、連邦警察は私の家からそれを持ち出す権限すらないのだ。
 襲撃があった週の間、私は何千キロと離れた場所にいたのに、連邦警察はどうしてそんな罪を着せようとするのだろう。さらに私は息子に「ブービートラップってのは一体何のことだ?」と訊いた。「父さんがアムステルダムに発った時、テラスに小さなゴミ袋があったろ。」「ああ、それがどうしたんだ?俺がいない間に捨てておくようにって置いてあったやつだろ。」彼によると、私を空港に送り届けた日、戻って来てみると、地元のごみ処理場が閉まっていた。それで次にゴミを捨てられるまでの間、熊や他の野生動物がゴミを漁らない様に、板に釘を打って、ゴミの周りをカバーしたのだ。
 私が「それがブービートラップと何の関係がある?」と質すと、マイクは、連邦警察によると、ゴミ袋の周りの板に打ち付けてある釘がブービートラップなのだと答えた。「勇敢な警察官達は、僅かばかりの板に釘が刺さっているのを見て、生命の危険を感じたってのか?こんな物は、どこの家にだってあるもんだ。釘が刺さった板なんてどこにでもある。それを所有している者は皆、ブービートラップを仕掛けた罪で有罪となるのかね?」今回で連邦警察による自宅の襲撃は四回目だったが、過去に、規制対象銃器やブービートラップが発見されたことは無かった。私はマイクに言った「マイク、連邦警察が建築現場や、建設途中の家を家宅捜索しないことを祈るばかりだよ。彼らにとっては決死の作戦になるだろうからな。釘が刺さった板のブービートラップが至る所に発見されちまうんだから。」
 マイクが言っていることは、合理的思考力を有している人間にとって意味不明のことだらけではあるのだが、連邦警察はニュースメディアに、規制対象銃器やブービートラップが発見されたと知らせており、それにより私が大変な危険人物だというメッセージが、大衆に送られてしまっている。もし連邦警察が腐敗したニュースメディアの助けの下、この出鱈目を大衆の頭に詰め込むことができたならば、私が犯罪活動に関与しているに違いないと、人々を信じ込ませるのに大きく貢献するだろう。この警察と呼ばれている者達は、現実には何の罪も犯していない私のような人間を有罪とするために、ここまで卑賤になれるのだ。
 遅かれ早かれ、この連邦警察に雇われている輩達は、自分達のしていることが完全に間違っており、実は彼らこそが犯罪に手を染めている人間達である、という結末に到達することになるだろう。悲しいかな、連邦警察は自分達の犯罪行為が明るみになるまで、自分達の間違いを絶対認めようとしないし、明るみになっても自分達に罪があると認めるのが非常に遅い。一般大衆が本当は何が起こっているのか知った時、連邦警察の頭上には、答えなければならないことが雨あられとなるはずだ。そしてカナダ国民は、自分達の国家警察が示してきた言動に、誇りを傷付けられるに違いないだろう。
 私はマイクに「二回目の時からどんどん下らなくなってきているな。彼らが見つけたと言ってる、この30キロの大麻ってのは?」と尋ねた。彼は連邦警察が裏庭から、30キロのコンポスト(堆肥)を掘り返し、袋に詰めて持って行ったことを説明してくれた。「コンポスト?今度は堆肥を所持した罪で訴えようってのか?だったら裏庭全部を掘り返したらいいじゃないか。そうすれば何トンもの堆肥を証拠として押収できただろうに。」連邦警察がしている事は浅ましいことこの上ない。だがそれでも、彼らがこれらのナンセンスを世間に、〝正しい〟方法で伝えたならば、私が本当はドクター・イーブル(オースティンパワーズの悪の親玉)なのだと人々に信じ込ませることができるだろう。カナダの司法システムとの今までの経緯から、恐らく彼らはこれに便乗するのに一瞬も躊躇わない。もし彼らが私を自分達の監獄の一つに閉じ込めることができれば、今まで人々に対して行ってきた犯罪行為を隠すことが容易になるのだから。
 この件について知れば知るほど馬鹿馬鹿しくなって来てはいたが、怪我の功名で、連邦警察がしたことは、この問題についての注意を再び集めることとなった。息子によると、地元の面々は皆、今回の出来事について怒り心頭に発しており、これは当然の帰結だった。私の活動は、周辺地区と他の地域の人々の大きな助けになっていたことが、周知の事実であったから。真実を知る人にとって、私のしている事は犯罪とは到底考えられないものだったのだ。
 マイクの報告では、私が出発する前に、彼が備え付けてくれた防犯カメラも連邦警察に押収されていた。私は彼らがしばしば、防犯記録機器からビデオテープを証拠として持って行くのは知っていたが、ビデオカメラを押収したというのは聞いたことが無い。自分達がしていることを民衆の目から隠そうとする以外に、こんなことを警察がするだろうか。彼らはカメラを持って行ったが、家にいる間の彼らの行動が全て記録されたデジタル機器は、押収せず無視して行った。程無く、彼らの襲撃の記録映像はインターネットで公開された。
 明らかにこの動画は連邦警察に衝撃を与えた様だった。彼らはこの記録映像が公開されるのを嫌った様だが、自業自得だ。結局の所、自分達の警官が、活動を隠蔽するためにはあまりにも無能だったことが、これを可能にしたのだ。誰かの家に押し入って、その証拠を消す為に防犯カメラを取り去ったのに、全てを記録した機材を全部残してくるなどという体たらく。これこそが、多くの連邦警察官の痴的レベルなのだ。犯罪を解決するために、この様な警察官達に莫大な給料を支払っていて、本当に良いのだろうか。ほとんどの場合、彼ら自身が犯罪者仕様であるというのに。
 加えて、警察が一般大衆に対して、横暴なやり方で使用する武器の携帯を許すのも疑問だ。〝目には目を〟というが、人々が彼らと同じやり方で行動したら、警察官達は喜ぶのだろうか。もし我々が徒党を組んで、銃を振り回し彼らの家を略奪、家族や友人を震え上がらせたら、きっと彼らも自分達がしてきたことを異なる視点で見ることができる。だが、彼らはこのような心的外傷を負ったことが無いから、躊躇なく同じことを繰り返し、我々が信用する政府はその行動を称賛さえするのだ。我々が住むよう強要されている、このドラッグ依存の狂った世界には(これは警察自身が創造するのを手助けしたのだが)確かに多くの危険が存在している。だがこれは、支配の中枢にいる人間達が、こうなることを望んだからそうなったのであり、警察も喜々としてそれに従っているようにみえる。確かに、警察官が非常手段を用いなければならない場面もあるだろう、だが今日大抵の場合、彼らは自分達の武器を、大した理由も無いのに、それで遊ぶために携行しているように見える。
 スタンガンや大音量拡声器の使用と結びつく彼らの行動は、単に民衆を怯えさせ、屈服させるために用いられている。これは我々の社会を警護するための人間達が、演ずべき役割ではない。そろそろ連邦警察や他の警察組織が、このような武器を好き勝手に使うことを禁止する段階に来ているのではないだろうか。彼らの戦術はもう十分無辜の市民を傷付けてきたし、幾つかのケースでは、大した理由も無いのに命を奪ってさえいるのだ。この様に警察が行動するのなら、反対に我々の方が、彼らから自分達を守るために、武器を持つべきなのかも知れない。現実に、こんなことが実際起こるとしたら、連邦警察のような警察組織とそのやり方に、人々が我慢の限界を迎えた時だろう。私は近い内に、世界中の警察組織が、自分達の起こしている害悪を認識し、今一度自分達の給料を払っている人達の為に働き始めることを願ってやまない。
 本の草稿を書くのは、非常に骨が折れる作業だ。それでも私は多大な時間と労力をつぎ込んで、2010年1月にそれを仕上げた。ハイタイムズマガジンの出版元であるトランスハイコーポレーションは執筆の為、1400ユーロを私に前払いしていた。スティーブ・ヘイガーが共著者になる筈で、トランスハイがそれを出版することになっていた。私はスティーブに連絡し、彼の従業員に契約書を送らせてくれと頼んだ。二週間程して、それが届いたが、彼らのオファーの内容を一読して、即座にその申し出を蹴ることにした。トランスハイコーポレーションは、彼らがこの先何年もの間、この本に関係する、全てをコントロールする権利を得る契約に、サインさせようとしていたのだ。
 スティーブと最初にこの本を書くことについて話した時、トランスハイは販売利益の50%を私に渡すつもりだ、と彼は言った。この時、これは出版界ではほとんど前例のない破格の条件だとも言われた。しかし今、私が受け取った契約書には、6%の印税とサインに対する5000ドルの報酬と書いてある。これは彼らの最初の提案からは著しくかけ離れたものだし、契約書に書いてあることから判断すると、彼らは私よりもかなり多くの取り分があり、映画化権を含む全てをコントロールすることになる。私はスティーブに再度連絡し、トランスハイコーポレーションの住所を尋ねた。1400ユーロの手付金を送り返そうとして。するとスティーブはトランスハイに連絡して、もっといい条件になるか交渉してみたらどうかと言った。
 私は彼らに連絡する気は無いとスティーブに伝えた。もし彼らが真っ当な待遇をする気が無いのなら、この本を自費出版するとも。スティーブは彼らの提案に対する私の反応にガッカリしていたが、私にしてみれば、彼らが送ってきた契約書は、屈辱以外の何物でもなかった。私は欧州に全然頼れる者もなく、長期に渡り留まることを余儀なくされてきた。それなのに、ここに来て、この本を出版することに興味を持っている人間達が考えている事と言えば、出来るだけ沢山の金を稼ぐことだけなのだ。彼らのやり方は他の作家では罷り通るかもしれないが、この本に関しては有り得ない。スティーブは私に、受け取った着手金は「もしハイタイムズに幾つか記事を書いてくれたら返す必要は無い」と語った。それから数か月間、彼らに沢山の記事を送ったので、着手金以上の仕事はしたはずだ。この本を仕上げるため、私は二年半を費やし、出版に耐えうると納得できる所まで、何度も推敲を重ねた。多くの移動等に時間を削られながら、原稿を完成させることは、思っていた以上にずっと困難な事だった。その最終結果がこれなのだ。
 私はカナビスカップでマーク・エメリーを擁護するためにスピーチを行ったが、最近クリスチャン・ローレットが教えてくれたところによると、マーク・エメリーはカナダで私について胸糞悪い事を放言しているらしい。マークによれば、私は連邦警察がでっち上げようとしている出鱈目な罪に向き合えない臆病者なのだそうだ。加えて私が老人だから、戻ったとしてもカナダの司法当局は、この件に温情的なのは確実だろう、という趣旨の話をしていた。これには自分の耳が信じられなかった。この当時、カナダ政府はマーク・エメリーをアメリカ合衆国に引き渡すことを報じていた。そこで彼はアメリカ人に大麻種子を販売、送付した罪で投獄されるはずだった。カナダにおいて大麻種子を販売することは犯罪とは看做されておらず、この国で種は大っぴらに売られている。カナダで犯罪と看做されていないことを理由として、カナダ国民を他国に引き渡すことなど許されざることだ。
 勿論マーク・エメリーもこの事について認識し、カナダ政府はアメリカ政府の引き渡し要求を拒否すべきだったことを知っているはずだ。そうであるならば、マーク・エメリー自身が、誰よりもカナダ政府と司法システムの腐敗を承知しているはずなのに。それを知っていながら、なぜ帰国しないことで、私を臆病者呼ばわりするのだろうか?政府と司法当局は彼の件で正しく行動していないのに、私の件でそれが行われると信じているのだろうか?彼らはマークに、公衆の面前で私に悪評をつけることで、引き渡し拒否が絡む取引を持ちかけた可能性もある。結局の所、政府が自分達の国民に対して行ってきた悪事を、全てを曝露していることで、私の活動は彼らにとって最大の脅威となっているのだ。
 私が進めてきたことに比べれば、マーク・エメリーのアメリカ人への種の販売は、現在カナダを統治している人間達にとっては、取るに足らないことなのだ。この時、マークはカナダの主要な大麻解放運動家の一人と認識されており、カナビスカルチャーマガジンを運営していた。もしかすると、エメリー氏を私とその仕事に反対させることにより、カナダ政府は支配を維持し、自分達の犯罪を継続するのに利用しようとしたのではないか。これは当て推量でしかないが、マークがなぜこのような発言をしたのか考えるとき、これが唯一論理的な帰結であるように思われる。しかしながら、もし実際にこれが彼らの計画だとしたら、どうやら大した成果は得られなかったようだ。最終的に、マークはアメリカの刑務所に送られ、私とオイルの信用を失墜させるカナダ政府の目論見は、失敗に終わったのだから。
 マーク・エメリーがインターネットの動画で、私とオイルの問題に関し、不正確なコメントを発表していなかったならば、彼に臆病者呼ばわりされることも許せたかもしれない。私が集めた情報によると、マークは私の活動について記事を載せることを望んでいたと公言しているが、それには同意しかねる。この発言は、私が何か隠しているとも仄めかしていたが、それも事実と異なる。私は、彼が雑誌に掲載するために要求した記事を書いていたし、アメリカのジャスティン・カンダーという若者も同様だ。彼は記事をマークに送ったが、マークはそれらを出版するのを拒んだのだ。だからここでマークが言っていることは、あからさまな嘘である。
 後に、彼とその支持者の数人は、私のフォロワーのことを「リック・シンプソン教団」と呼び、馬鹿にさえしていた。私はこの治療薬のファン達を、新興宗教の信者か何かのように考えたことはない。彼らのこの用語の誤用は、私やこの世界の変化を見たいと望む者達に対する、直接的な侮辱である。エメリーさん、他にも悪いニュースがある。あなたが名付けた私の〝教団〟は恐ろしい早さで成長しているが、あなたのそれが同様だとは疑わしい。本当の所、マーク・エメリーは種を売ったかどで、刑務所に行くべきではない。だがそうだとしても、この件に関する彼の言動はカナダ政府と何ら変わりなかった。恐らくそれこそが、彼がそこに行くべき唯一の理由だ。
 ハイタイムズ紙が活動に関する記事を載せ、自由の闘士賞を私に授けた時から、ハイタイムズ紙の誰かが少量のオイルを製造し、私がこの物質について話すことが、真実かどうか証明するものと考えていた。それが達成された暁には、彼らは自分達の発見をハイタイムズで公開できるし、我々は大麻に関する嘘に終焉をもたらすことができるだろう。そうする代わりに、ハイタイムズ紙は、私の仕事に対する信用を損なわせる趣旨の、レスター・グリンスプーン博士のインタビューを掲載した。彼らはオイルで試験をし、正しいことをする代わりに、論戦を煽ることで、売り上げを伸ばすという選択をしたのだ。彼らにとっては、より大きな利益を上げることこそが最終目的であって、世界中の人々が真実を学ぼうと欲している事や、この治療薬を文字通り死ぬ程必要としている人々がいることなど、眼中に無いらしい。私の慎ましやかな意見では、ハイタイムズ紙が適切に行動してさえいれば、これらの人々の苦しみを救う大きな助けとなったはずなのだ。
 私は常に、レスター・グリンスプーン博士がこの植物の医薬的使用価値について言っていることに一定の価値を見出してきた。例え彼が、私がその存在さえ不要と感じる、医学の一分野で働いているとしても。『The Marketing of Madness(狂気のマーケティング)』というドキュメンタリーを見てから、どうして人々が精神科医を信用できるのか、と疑問に思うようになった。彼らのほとんどは、患者を向精神薬漬けにしているだけであり、それにより、製薬会社に莫大な利益を生み出している。精神医学には真に科学的な裏付けすらないのだ。この分野の臨床家達は単に想像だけで診断を下しているように見えるので、私はその大多数が詐欺と変わりないと考えている。
 これはグリンスプーン博士の場合では、少し異なるのかもしれないが、彼のお仲間達の使う治療薬が人々に与えている危害を考える時、なぜ彼が、そこまでこの天然オイルの使用に強く反対を表明するのか、私には甚だ疑問である。それが今まで誰にも害悪を及ぼしていないのに。彼がハイタイムズに寄稿した記事からは、グリンスプーン博士のオイル使用に対する明確な反対が伺えるが、彼は自分の意見を裏付ける調査を何もしていない。もしレスター・グリンスプーンがこのオイルにちゃんと向き合い、必要とされる単純な検査をしていれば、彼の面目は保たれただろう。彼はそうする代わりに、この素晴らしい治療薬の使用に反対を表明し、今まで何年もの間、この分野において集めてきた自らの信頼性を台無しにしてしまった。この記事で彼が言及したことにより、泥水がかき混ぜられ、人々は五里霧中にさせられている。真実を隠し通そうとしている人間達は、ほくそ笑んでいるだろう。
 私はレスター・グリンスプーンが、今までこの植物の薬用効果について大衆を啓蒙してきたことは認めるが、彼とハイタイムズは、この件に関しては散々な失敗をやらかしたようだ。これに加え、私の聞くところでは、レスター博士はカナダのラジオ番組のインタビューで、私の所に来た人々は、自分達が癌であると妄想していただけだ、と宣った。グリンスプーン氏はこれらの患者に会ったことも無ければ、彼らの医療記録を見たこともないのに、どうして彼らが、何に苦しんでいたのか、知ることができるのだろうか。ここ何年もの間、私は事実を隠そうとする人々による、非常に白痴的な言説を耳にしてきたが、これは群を抜いている。
 もし私の所に来た患者が本当に癌を患っていなかったのだとしたら、なぜ医療機関は彼らが死にかけるまで、化学療法や放射線療法を行ったのか、グリンスプーン氏にご説明願いたい。私の患者達は、癌をはじめとする様々な医学的問題を抱えていた。多くの患者に対し、オイルはまさに奇跡のように働き、彼らは治癒した。この事実はインターネットで閲覧可能な証言を見れば、簡単に確認できる。グリンスプーン博士の発言を知った私は、彼が完全に誤解しているか、悪意ある人間達がそうコメントするように彼を買収したか、そのどちらかだと結論せざるを得なかった。レスター博士の様な博識の人間はどうか知らないが、私であれば、ある論点について十分な見識が無い場合、そう告白して後は口を噤むだろう。医療大麻問題に関しては、その深刻な本質を考えれば、多くの人がそうしないのが、非常に残念だ。私は喜び勇んでこの分野で有名な人物達を糾弾するのではない。だが、彼らの発言がこの不必要な苦痛を長引かせるものならば、ご覧の通り私に躊躇はない。
 私がEU圏で過ごせる期間は、2010年2月で期限が切れようとしていた。滞在の為に必要な資金が尽きようとしていたので、自らの道を行く時が来ていた。私はクリスティナ・ノヴァコーヴァという若いチェコ人女性と共にクロアチアのフヴァル島に行くことになった。彼女は新しい環境に私が落ち着けるようにするためと、カナダから送られてきたノートパソコンの使い方を教えるために、随行してくれるのだ。私はあまりコンピューターに触れて来なかったから、この驚異的な電子装置を使いこなせるようにするためには、かなりの努力が求められた。島に着いて約二週間後、クリスティーナは、彼女が受けようとしていた試験の準備のため、チェコ共和国に帰らねばならなかった。この時までに、私とクリスティーナは非常に親しくなり、まるで娘ができたかのようだった。彼女は本当に尽力してくれ、その別れはとても名残惜しかった。共に過ごした日々は飛ぶように過ぎ、彼女が出立する日が来て、私は一人島に取り残され、一人でやりくりすることとなった。
 ゆっくりと、私は新しいノートパソコンに慣れていき、この小さな機械のお蔭で、再び世界と繋がることができるようになった。Eメールが絶えず流れて来ては時間を奪ったが、時折私はこの魅惑的な島の美しい風景の中を散策した。そして、スカイプと呼ばれる素晴らしい発明のお蔭で、今や私は、世界中の人々とコンピューターを通じて無料で話すことができるのだ。程無くして、バトヤと再び連絡を取った。彼女は松果体についての科学的資料を送ってくれ、それを読んだ方が良いと知らせてくれた。
 長年、私はこのオイルがどのようにその奇跡を行っているのか、解明しようと試みてきたのだが、あまり成功していなかった。調査では、THCが体内に入るとセラミドという脂質分子を増強する原因となる。このセラミドが癌細胞と接すると、プログラムされた細胞死(アポトーシス)を誘発するのだが、健康な細胞は傷付けない。確かに癌に関してこの説明は、問題無く理解できるが、オイルの他の病気に対する奇跡は、どうして起こるのか。何年もの間色々な研究結果を熟読してきたが、オイルがなぜその効果を発揮するのかに、合理的な説明をするものは見つけられなかった。それが今、バトヤの松果体とそれが分泌するメラトニンに関する新しい情報が、解決をもたらそうとしているのだ。
 カナビノイドが体内に入ると、それらは我々のエンドカナビノイド(内因性カナビノイド)体系のCB1とCB2という受容体に接合する。我々全てが体内に持っているこの自然のシステムは、身体にバランスをもたらしている。そして、炎症や他の健康に関連する問題から、我々を保護している。病気や放射線、その他の有害物質への曝露といった問題があるとき、その問題を解決するために必要充分な生来のカナビノイドを、我々は往々にして自力で生成できない。そこで、エンドカナビノイド体系に喝を入れるため、医療用大麻品種から得られるカナビノイドを入れる必要があるのだ。THCや他のカナビノイドが松果体に達すると、それらはこの内分泌腺を脱灰化し、メラトニンの濃度は数千倍に跳ね上がる。メラトニンは人類が知る最強の抗酸化物質であり、病気に苦しんでいる人々は、往々にしてメラトニン濃度が低い。
 私はこのメラトニンの上昇と松果体の機能向上が、多くの病気を治癒させるのに、大きな役割を果たしているのだと考えている。オイルは他にも様々な方法で癒しを行うが、これこそが全ての効能の内で、最も重要なものかもしれない。もし松果体が健康な状態になければ、我々は自分の周りで起こっていることを、正常に知覚できなくなる。これが統合失調症のような疾患の、主要な原因なのではないかと考えられる。精神的問題の治療にオイルを使っている多くの人達からの報告を勘案すると、松果体の脱灰化とその機能向上は、実際に精神的な苦悩や、他の重篤な疾患を抱える多くの患者達に、再び正常な人生を送るチャンスを与えていると、私は確信している。
 私は医者ではないし、名前の後にPh.D(博士)等のアルファベットが並ぶ肩書きも無い。さらには、自分の意見を証明するのに必要とされる、設備や資金すらない。今まで人に話してきた、このような病気の治療に対するオイルの有効性は全て、自分で調べた論文や、患者と直に接して得たものだ。もしあなた自身や大切な人が、双極性障害や他の精神的問題で苦しんでいるなら、身体に害のある化学物質を全て捨て、オイルを試してみてはどうだろうか。私はバトヤに、彼女がしてくれたリサーチと、長い間絶えず私を悩ませていた疑問について、納得行く説明を見つける手助けをしてくれたことに対し、ここに感謝を表明する。親愛なるバトヤ、素晴らしい仕事だ。あなたの情報には、物凄い価値がある。あなたが果たした重要な役割を、我々の誰もがずっと憶えているだろう。
 フヴァル島で数週間過ごした後、肺癌で苦しむあるご婦人の治療を助けるため、クロアチアの首都ザグレブに呼ばれた。その女性はオイルを摂取し、良好に反応していたが、医療システムが受けさせようとする化学療法を止めさせるため、かなり彼女を説得しなければならなかった。この女性が罹っているような癌には、化学療法は非効果的であることが、何年も前から知られているが、医者達は盲目的にこの毒物の使用を続けようとする。自分達の患者がそれでダメージを受けるのもお構いなしに。
 私がEU圏に再入国できる日が来た時、Jiri Vlkジリ・ヴァルクがザグレブまで自分の車で迎えに来てくれた。そして我々二人はプラハに戻った。チェコ共和国で過ごした短い間に、私には多くの友達ができ、この国で過ごすことは全然苦にならなくなった。自分が良く知り、信頼する人達がいる慣れ親しんだ環境に帰ってくることは、本当に素晴らしい。彼らが将来、私の活動を導いて行ってくれるだろう。
 私は戻った翌日に、チェコの議会でスピーチを行った。この自然薬の治癒力や、なぜ薬として使用されなければならないか、についての私の話は、聴衆によって暖かく受け入れられた。だが、それは私が望んだような興味を、政府関係者の間で呼び起こすことは無かった。私はスピーチを終えると、彼らの注意を引くための新たな戦略を計画するため、イェンツェフとミランと共にオロモウツに戻った。充分な教育を受けた大勢の人々が、なぜこのスケールの問題をこんなに軽々しく扱うのか、私には未だ理解できない。インターネットを見れば、この治療薬の使用に関する情報がいかに早く拡散しているかが分かる。権力の座にいる人間達は、自国の市民を助けるために、何も行動を起こさないことで、自分達自身の首を絞めていると気付いていないのだろうか。当時は彼らの行動に心底ガッカリさせられたが、これまでの経緯から、私は彼らの目的をよく理解するようになってきていた。
 私がヨーロッパに来てから、大した時間は経っていなかったが、より多くの人々が、講演依頼の連絡を寄越すようになっていた。当然、私に連絡をくれる人々の多くは、そのようなイベントをやったことが無く、資金がいつも問題となった。2012年1月までに、目的に賛同する人々から、およそ1万ドルの寄付を受けていた。この寄付とカナダからの毎月の多少の仕送りが、私を何とか生かしていた。講演の開催費用に資金提供すると、後は螻蛄だった。
 このような運動は、博愛主義者や、この治療薬がメジャーになるために、必要な資本をコントロールしている者達からの、資金援助を得られるものだと、多くの人は考えるかもしれない。私の活動は、今や広く知れ渡っているにも拘わらず、必要とされる支援ができる人間で、助力を申し出た者は一人もいない。私は常々、この問題に本当に相応しい資金提供が、これまで一度もなされなかったことが、不思議でならない。ビル・ゲイツのような博愛主義者や財団は、私がしてきたことを知らないのだろうか。それとも、異なる計画を考えているのだろうか。大概こういった財団には、どこにどう資金を使うかの決定に、創設時から巨大金融資本が支配を及ぼしている。これらの財団をコントロールしている人間達の多くは、この惑星の人口削減を公言している人間達と同一人物なのだ。この様に見れば、彼らの計画における本当のゴールが、我々のほとんどを殲滅することだとしたら、彼らが人々が自分達の病気を治癒させる治療薬を広めることを、わざわざ手助けするはずがない。私はこういった人間達の考え方や行動を理解する素振りすらできない。この地球の人口減少を行う権利が、何で彼らにあるというのだ?神が彼らに話しかけ承認したから、彼らはこの計画を進めようとしているのだろうか?それともただ邪悪なだけなのか?
 1940年代ヒトラーは、自分が望ましくないと考えた民族集団の大勢の人々に対し、暴力と絶滅収容所を用いて人口削減を実行した。もし今日、人口削減を標榜するこれらの人間達が成功を収めたならば、第三帝国も真っ青だろう。我々の破壊を計画している者達が、自分達の目的をどう感じているか知らないが、私だったら、人類史上最も大規模な大量虐殺に加担したと知りながら、平然と生きてはいけない。現実には、我々の消滅を望む者達に、こんなに金や権力を集中させてはいけないのだ。そうすれば多分、我々皆にとって世界はもっと住み良い所となる。過剰に裕福な銀行一家と、歪んだ計画を企てる人間達の欲求のために、68億の人々の幸福を否定することはない。彼らは直に、自分達のやり方が間違っていると気付かされるだろうが、現段階では何も変わっていない。
 私がチェコ共和国を離れ、クロアチアに行く前に、息子があの私名義の多額の債権のコピーを送ってくれた。イェンツェフはそのコピーを知り合いの弁護士に見せ、それが実際本物であるか確認しようとした。同様に私もクロアチア滞在中に、コピーを現地の弁護士へ持って行った。チェコ共和国とクロアチアの弁護士双方によると、それは本物であるようだが、どうやってそれを発動させるのかは見当もつかない、とのことだった。地元カナダでも似たような債権を持つ者が、その文書を元にどのようにして資金にアクセスできるのか調べようとしたが、成功していなかった。現在に至るまで、私はこの債権が実際に何かしらの価値を持っているものなのか分からないでいる。しかし見たところ、これは怪しいものだ。もし誰かが、同様のものをあなたに提供しようとしたら、私なら資金を投資する前に考え直すだろう。私が思うに、このような債権の販売は、陰謀の一つに過ぎないのではないだろうか。
 この私名義の債権はティモシー・ガイトナーによって署名がされていた。この債権が発行された時点で、彼はニューヨークの連邦準備銀行総裁だった。彼は現在、米財務長官である。私が集めた情報では、多くの人が彼をロスチャイルド系銀行資本の鞄持ちだと看做している。ロスチャイルドを始めとする巨大金融資本が、製薬業界にも莫大な投資をしていることに疑問の余地はない。将来的に、この薬は製薬会社のほぼ全てを倒産させてしまうかもしれないのだ。だから支配エリートが私に対して、その目的を達成するために、資金を融通しようとするはずがない。加えて、もし本当に私の成功を望む、力のある人間がいるとしたら、なぜ彼らはもっと簡単な手続きで、この債権から活動資金が得られるようにしないのだろうか。今までそんな事は起こってこなかったから、この債権はそれが記載されている紙程の価値も無い、と考えるのが普通だろう。
 2010年4月15日、私は親友であり師匠であったジャック・ヘラーが、逝去したとの連絡を受けた。この大麻皇帝を個人的に知る他の大勢と同様、私は彼の死に完全に打ち砕かれてしまった。その時、私はジャックに関する短い文章をインターネットに掲載しようとしたが、あまりにも悲しみが大きく、その作業は完遂できなかった。ジャックは比類ない人間だったとしか説明のしようがない。彼の業績は無数の追随者とファンを作り出した。何十年もの間、ジャックは大麻解放運動の心臓であり魂だった。その彼が最早、我々と共には存在せず、我々を導いてくれないのだ。私はジャックの死を悼みながらも、彼の死につながった事象を考えざるを得なかった。
 ヨーロッパにいて連絡も密ではなかったから、ジャックに何が起こったか、私の知識は非常にざっくりとしたものだ。悲しいことに、ジャックはオイルを取り上げられていた。裁判所命令が、彼の妻ジーニーの病室への入室を禁じていたのだ。ジャックの奥さんは、私が話す光栄を得た中で、最も素敵な人物の一人である。彼女を自分の夫に会えないようにする裁判所命令などよく出せたものだ。なぜそんなことをする必要があったのだろう。加えて、この治療薬がどんなに彼の助けになっていたか、医師達や周りの皆が知っていたのに、なぜジャックはオイルを取り上げられたのか、甚だ疑問が残る。
 ジャックと彼の妻に対して行われたことは、理解の範疇を超えるものであり、我々皆が、本当は何が起こったのか知る必要があると思う。誰に責任があるのかはっきりするまで、大麻解放運動は休むことを許されない。もしジャックが自由にオイルを使えたとしたら、今日彼がまだ生きていた可能性は十分ある。そうさせる代わりに、システムは彼を化学物質で一杯にし、愛する妻に会うことすら拒否したのだ。我々はここで起こったことに責任ある者達が、何事も無かったかのように歩き去ることを許していいのか。史上最も偉大な大麻解放運動の指導者が、疑わしい状況下で我々から奪われたのだ。このような事態が起きるのを許されたのはなぜなのか、ちゃんとした説明を私は求めるものであり、運動に関わる他の人間達も同様に感じることを願っている。
 ジャックが亡くなってから数日後、私はインターネットで彼の埋葬式を見ていた。スティーブ・ヘイガーが進み出て参列者に対し、ジャックは、もし自分に何かあったらリックに跡を託すことを望んでいた、と話した。私は以前スティーブに、ジャックの後釜に座るつもりはないと話していた。既に、大麻医療の前線にいて多忙を極めていたし、ジャックと同じ役割を果たす時間は無いと、考えていたからだ。だが、スティーブがジャックの望みを明らかにした今、後戻りはできないし、どうやら私が運動の新しいリーダーとされたようだった。私はジャックを本当に尊敬していたし、このような状況においては、少なくとも、彼の望みを成就させなくてはならない。恐らく大麻運動家の中には、私を無名だと考える者もいるかもしれない、だが近い将来、なぜジャックが私を後継者にしたか、彼らは知ることになるだろう。私が加わるまで、ジャックは運動の中で唯一〝火を噴く龍〟だった。私に言わせれば、他の運動家の大多数は、せいぜい煙の輪を吐いているだけで、彼らの活動はインパクトに欠けるものだ。ジャックが逝ってしまった今、私はこの植物の完全なる再合法化に、彼が見せたのと同じ情熱を顕わにしたい。ジャックが先鞭を付けたことを、私が終結させるつもりだ。私のような人間にこれ以上の目標は見出せない。今や残る疑問は、ジャックが私のために定めた、このゴールに到達するのにどれだけ時間が掛かるか、ということだけだ。さあ、どうなるか見てみようではないか。