不死鳥の涙 ーリック・シンプソン物語ー 第11章

第十一章   巧言令色鮮矣仁

 2008年夏、私はノバスコシアのダートマスで開催されたヘンプラリーでスピーチした。この様な催しは、大観衆に対して、この植物の治癒力を説明する絶好の機会だ。私は可能な限りこのような行事に顔を出し、メッセージを伝えることに努めてきた。その日ジム・レブランクが私と供に来て、聴衆に自身の快復体験談を話した。彼の話はとても貴重だったので、このようなイベントに参加する時間を作ってくれることは、非常に喜ばしいことだった。なんと言ってもオイルの効果の生き証人なのだから。
 私がスピーチをしている最中、聴衆の誰かが叫んだ「リック、薬物検査の人間達の身体の中にTHCが無いか見てみるのはどうだい?」私は聴衆に薬物検査は必要だし、完全に賛成だと言った。さらに続けて、ヘンプオイルの大規模生産が現実化したら、その生産に関わる者達は頻繁に検査されるべきだと伝えた。聴衆は私が二重人格だと思っただろう。私のような人間がそんなコメントをするのは矛盾しているように聞こえたはずだ。私は真面目な顔で説明を続けた「そこで働く者は全員、定期的に検査を受け、もし検査で彼らの身体にTHCが無いことが証明されたら、彼らにもう来なくて良いと伝えなければならない。」
 これで会場の雰囲気は和み、話題が話題だったので、大勢の聴衆は愉快に笑っていた。そこに私は付け加えた「我々は自己破壊的人間を雇用するべきではない。もし、身体の中にTHCが無い人がいたら、それはその人がそういう人間だということになり、その存在は受容されないものとなる。」皆はこれを冗談ととったようだった。本当は、薬物検査について、完全に反対だったが、自分の発言に対しては一部真剣だった。この時までに、私は人々が健康を維持したいのであれば、ヘンプオイルが彼ら全ての人生に必須のものであると、考え始めていた。THCを身体に入れておくことは伊達や酔狂ではない、単純に良識なのだ。
 私がスピーチを終えたところで、地元で3店舗の園芸店を営む男が来て、私がこの薬の素晴らしさを世間に情報発信し始めてから、彼の事業が3倍になったと報告をくれた。それから彼は、カナダにおける大麻関連出版の最右翼である雑誌『Treating-Yourself』(トリーティングユアセルフ・自己治療)の記者に私を紹介したいと申し出て〝ザルドス〟ゴード・ヒュームに引き合わされた。ゴードは私の仕事にとても興味があると言い、活動について記事にしたいと持ちかけてきた。記事について話し合う為に、近い内に連絡を寄越すと彼は言い、我々は別れた。
 およそ3ヵ月後、ある末期癌患者が家に来て、オイルが彼の病気に何をするか訊いて行った。私は全てを説明したが、彼は治療を頼まずに去った。2、3日後この患者から、ゴード・ヒュームと言う名に心当たりがあるかと、問い合わせの電話を受けた。ゴードは記事についての連絡を寄越してはいなかったが、彼が何者かは知っていると答えた。この患者によると、彼の継息子がヒューム氏の近所に住んでおり、ゴードが治療のためにオイルを供給したとのことだった。それから彼は、手に入れたオイルを検査してくれないかと頼んできた。
 私はオイルを持ってくるよう言い、それが何なんか調べてみようと伝えた。一時間後、彼は継息子と共に現れ、瓶に入ったオイルを私に手渡した。蓋を開けようとして私は驚いた、中身が少し床にこぼれたのだ。「どういうことだ?俺が作る薬じゃない。俺のオイルは濃いグリースで、室温でボトルをひっくり返したってこぼれることはないはずだ。」
 彼らが「どうにかしてこのオイルを使用に耐え得るものに出来ないか」と頼んだので、そのボトルに何が入っているかは定かではなかったが「何ができるか見てみよう」と伝えた。私は瓶の中身を大きなステンレスの計量カップに空け、99%のアルコールを少量加え、コーヒーウォーマーに載せた。この物質を温めて濾し取ることで不純物が取り除けないか、というアイディアだ。このオイルは自分で精製したものではないので、何が入っているか皆目見当もつかない。もしかしたら患者を害する物が入っていないとも限らない。これで、仮に私が作っているオイルに似たものができたとしても、この中に逆効果な物質が入っていたら、今度は私の責任になってしまうのだろう。私は計量カップの中身をかき混ぜ始めたが、そこに何か黒い物体を認めたので作業を中断した。私は数分間、オイルとアルコールの混合物の粗熱をとってから、彼らが持ってきた瓶に中身を注いだ。計量カップの底にはおかしな匂いのする黒いべたべたした物が残っていた。私はこの黒い物質を剥がすと、たった今混合物を注いだボトルの蓋に貼りつけた。
 私は患者の継息子にボトルを返して、その中身が何であれ、ヒューム氏に戻して「間違いに気付いて適切にオイルを精製するように」と伝えてくれと頼んだ。彼はこれに非常にショックを受け、ゴードはただ助けようとしてくれたのだと私に説明した。私は言った「こんなゴミを渡して末期癌の人間を助けることなど出来ないよ。分らんのかね?これを飲んでいたら死んでいたかも知れないんだよ。」
 次の日その患者は戻って来て、私に治療の提供を依頼した。6週間後連絡をもらい、彼の癌が今やほとんど治癒したことを知らされた。彼はオイルの治癒効果に感嘆していたが、まだ不信を拭えないようだった。私が「何かの悪い冗談だと思われなかったらいいのですが。」と告げると、彼は「最初はどういう事かさっぱりでしたが、あなたは私の命の恩人ですよ。」と言ってくれた。
 不適切に精製された低品質のオイルや混ざり物を作る人間は、ヘンプ治療薬に悪評を呼び、患者に深刻な被害をもたらしかねないことを自覚すべきだ。良質のオイルを精製するのに何か大きな秘伝があるのなら、ゴードにも救いがある。しかしながら、高品質の薬用大麻オイルは簡単に製造できるから、残念ながら彼に言い訳の余地は無い。オイル精製に必要なのは我々のドキュメンタリーを見るか、www.phoenixtears.caに掲載されている我々の手順に従うことだけなのだから。
 ヒューム氏が私の手順通りにオイルを精製しなかったのは見た瞬間に分った。彼は自分のやり方でヘンプオイルを精製したようだが、患者がそれを摂った時、何が起こるかは神のみぞ知るだ。栽培者や売人が提供するオイルは常に安全とは限らないし、薬用効果があるかどうかすら定かではない。患者はこのことを良く認識しておくべきだろう。癌のように深刻な病気に対しては、高品質な原材料を使うこともさることながら、その精製において最適な手順に従うのが必要不可欠である。ゴードのような人間は意図的に他人を傷つける意思は無いのだろう、しかし、正しい方法で薬が作られなければ、結局はそうなってしまう。
 数日後、ジャックの番組中に、エディー・レップに事の顛末を説明し、トリーティングユアセルフ紙が申し入れてきた記事について、ゴード・ヒュームは全然連絡を寄越さないと話した。「リック、僕はトリーティングユアセルフに記事を書いているから、僕があなたの話を記事にしようか?」と申し入れてくれたので、「願ってもないことだよ。」と返事した。2、3日後に私はエディーに電話して、内容を伝えたが、私の知る限り、それが出版されることは無かった。
 数か月後、トリーティングユアセルフ紙の編集長であるマルコ・レンダがキャスパー・レイチの番組に出て言った。彼らが私の記事を掲載しなかったのは、私が有毒な溶媒を使って、治療薬を製造していたからだと。確かに彼の言ったことは真実ではある。事実、私はナフサ(直留ガソリン、軽質ナフサは沸点35~80度)やアルコールなどの有毒物質をオイル精製に使っている。しかしながら、製造工程が適切であれば、危険を及ぼすような残留物は残らないし、万が一オイルの中に僅かに溶媒が残ったとしても、オイルの効果で中和されてしまうだろう。私は自ら十年以上このオイルを使用しているが、健康被害を受けたことはないし、私にオイルの提供を受けた数千人の人々にも問題は生じていない。
 レンダさん、もし本当に人々が有毒物質に曝されていることをご心配なら、製薬産業に対してなぜ何もしないのですか?あなたは化学療法や放射線療法が何なのか調べたことが無いのですか?または製薬会社が何を使って、医師達が私達に与えている錠剤を作っているか?もし、あなたが真に大衆の安全を気遣っているなら、本当に害悪を及ぼしているのは何なのか、よく見るすべきだ。そうしてもらえれば、私の手法で精製されたオイルが、大衆に危険を及ぼさないことが明白だと分かるだろう。
 私が見る限り、カナビスカルチャー紙もトリーティングユアセルフ紙もオイルの話を避けるために全力を尽くしているようだった。私にはカナダの大麻関連出版がオイルの件に関してなぜ欣喜雀躍しないのか、合理的な理由が思い浮かばなかった。もしマーク・エメリーが私の書いた記事を出版していれば、彼の置かれた状況を少なからず好転させただろうに。カナダがもたもたしている間に、最初に「大麻が癌を治す」と北アメリカで表紙に銘打ったのはHigh Times(ハイタイムズ)紙だった。2年後の事である。当時アメリカ政府はカナダ政府にマークの引き渡しを要求していた。大麻種子を販売した罪でアメリカの刑務所に服役させるために。もしマークが私の書いた記事を載せ、自分の雑誌で公衆に対し真実を最初に公開していたら、彼が直面していた法的問題を改善するのに一役買ったはずだ。それどころか状況は完全に一変していたかもしれない。誰が彼の〝犯罪〟を深刻なものと看做すだろう。
 この植物から作られた治療薬に何ができるかを、彼が大衆の認識するところとしていれば、何の罪で彼を有罪にできたというのだ?アメリカ人に癌を治す植物の種を売った罪でか?私にはそれが犯罪とは到底思えない。カナダ国民に何が起こっているのか知れ渡ったら、我々の政府は彼の引き渡しを許可したことで、こんなに安穏とはしていられないはずだ。カナダにおいては犯罪でさえない行為に対し、アメリカ政府に迎合して自国民を引き渡したことは、真実を知った世間の目に、どう映るのだろう?
 マークは最終的に自身のウェブサイトで私のしていることについての情報を公開した。カナダの大麻解放運動で有名なマークのような人間が、私の存在を認識していなかったことはどこか引っ掛かるが、まあ結局他人のすることなど説明不能なのだ。惜しむらくは、マークがこの件に対し違った見方をしていれば、彼にとって物事はもっと良い方向に進んだだろう、ということだ。私は富や名声のために、世間にこの情報を広めたいわけではない。それが単純に正しいことだからであって、この薬が人類にとって絶対的に必要なものだからだ。
 それでも、この件に対する人々の言動の中には信じられないものが沢山ある。もし彼ら自身が病気でなおかつ真実を知っていたら、この素晴らしい治療薬を、入手可能にすることを望まない人間が地球上にいるのだろうか?私には大多数の人間が何がしかの自殺願望を抱いているとしか思えない。今日の人々は大部分でこの腐敗したシステムに丸め込まれていて、理性的に考える能力を最早失ってしまったかのように見える。多くの場合、苦しんでいる人々は、彼らをその状況から本当に救ってくれるものに心を開くまで、棺桶に片足を突っ込んでしまっているのだ。
 民衆が真実から遠ざけられているため、この地球上にいる医療的問題を抱えている大多数の人々は医療システムの奴隷と化している。医療システムは文字通り彼らを殺しているのだが、我々はそれが続くのを許容しているのだ。我々は自由に生き、真実を知る権利があると絶えず教えられてきたが、あなたとあなたの愛する人が、危害を加える者達の奴隷と化している現状は、私にとって全く理解不能だ。目隠しを外し自分達の周りで何が起こっているのか、見定めなければならない時が本当に来ている。我々の現代医療システムは、その残酷な現実が明らかにしているように、あまりにも人々の助けになっていない。
 この植物の薬用的価値を人々から取り上げるために、システムがしてきたことを見るだけでいい。もし大麻草が本当に危険なものであるなら、その見方は完全に違うものとなるだろうが、実際のところ大麻草は危険なものではない。数千年にも及ぶ、この植物の薬としての使用の歴史が、それを真実だと証明している。歴史上の最も偉大なヒーラー達の多くが(私はこれにイエス・キリストも含まれていると信じている)大麻を使用して薬を作り出し、その時々の人々を治療してきた。
 歴史には、この植物を薬として大いに活用した伝説的な治療家達が、どのようにそれを使ったかの記録が刻まれている。例えばキリストから二百年後の中国では、大麻樹脂と酒の混合物が麻酔薬として使われていた。文献によれば、この混合物を使用することにより、彼らは臓器の徒手整復や切断を無痛で行っていた。私自身の経験と観察からも、彼らの記述が真実であることは疑いようが無い。さらにはヴィクトリア女王でさえ月経前症候群の緩和のために大麻を使用したという記録が残っている。しかし、今日の地球に暮らす我々はその使用を禁止されている。私は社会に対してこの件に関し、簡単な疑問が二つある。この植物を医薬的に適用することを否定する権限があると、現実世界で考えているは誰なのか?その者達にそうする権限を与えたのは誰なのか?
 大麻解放運動それ自体、その言動が疑問を抱かせるに十分な者達がいる。彼らはどこから来たのだろうかと。彼らは本物なのだろうか、それとも腹に一物あるスポークスマンに過ぎないのか、そして、その事実を考えているのは私だけなのだろうか?
 ある晩、私はジャックから電話をもらった。彼はとてもイラついていた。「リック、地球上に何人のヘンプアクティビストがいると思うね?」彼が訊いたので、私は答えた「ジャック、ジョイントを吸ってる奴はみんなそう思っているんじゃないのか?」するとジャックはこう言って私を驚かせた「リック、二人だけさ。あんたと俺だ。他の奴らは自分達に風向きがいい時だけのアクティビストなのさ。24時間これをやってるのは俺達二人だけさ。他の奴らは何をやってるんだ全く。」確かに彼の言う事には一理ある。
 その時オイルの提供を始めてから6年になっていた。私は助けを求める患者達全てに対応することに、重圧を感じていた。質問のある患者達から、四六時中掛かってくる電話に、対応しなければならないことは言うに及ばずだった。だから、ジャックが何を言わんとしているか分かっていた。今や私の人生は大麻以外のものに割く時間が無い。何年も一緒にいる恋人のリアでさえ、ある日私に言ったものだ「他の女に盗られるなら分かるわよ。でも植物に盗られるとはね。」彼女の言い分は正鵠を得ていたし、耳が痛い。私がこの植物に何ができるか認識し始めてから、大麻は私を巻き込んで、他の全てから引き剥がしたのだった。
 この植物とその生成物である治療薬が、完全に私の人生を占拠したのだ。私がどこかに行ってその話題に触れなくても、他の誰かが必ず触れる。ここ数年、他の人と交わした会話の優に90%以上が、この植物とその治療薬に関わるものだったはずだ。もし、自分自身でもこのオイルを摂取していなかったら、ここまでのことは出来なかっただろう。この治療薬が持つ最高に素晴らしい効果の一つは、私を安定した状態にしておいてくれることだ。過去数年間、私の人生は浮き沈みの連続だった。患者からオイルで病気が治ったとか、状況が改善したという電話を受けた日があったかと思うと、翌日には警官が玄関に来て、彼らを助けたかどで私を逮捕しようとする。だが、全てを通じて、オイルがそれを続けることを可能としたのだ。
 この植物には魂が宿っていると言われる。私はここ数年の経験から、これが真実だと思い至るようになった。事あるごとに、私はどこか導かれている感覚があった。時々、何か書いている時など、言葉や文章がどこからともなく浮かんでくるようだった。私がオイルを摂取したことで、この植物の精が私の身体に入って来ていたのかもしれない。何はともあれ、オイルは良いことしかしないと感じられたし、私がこの薬物を供給してきた人達にも同様のことが言えそうだ。
 私はいつも自分の気性を制御下に置いておこうとしてきたが、私の堪忍袋の緒は細く、思っていることを公言することに躊躇しないことは、皆が良く知っていた。私の思考には正しいか間違いかしかなく、ナンセンスを許容できる閾値はいつも低い。もし裁判中や直面しなければならなかった他の事態に、オイル無しで臨んでいたとしたら、物事はもっとずっと醜いものになっていただろう、それが既に十分醜いものであったとしても。ここまで接してきた権威ある者達は、私達全員が屠殺されるのを、ただ突っ立って見ている以外、何もしようとしていない。この茶番に終止符を打つことこそ、本来彼らがするべき仕事であり、人間としての責務であるはずなのに。
 彼らは我々を助けるために何もする気がないようだから、我々の方で敬意を示す必要などあるのだろうか?彼らを無視して為すべきことを為す方が、理に適っているかもしれない。時にこの薬や私に対して、腸が煮えくり返るような、様々な事が言われてきた。けれど私は、オイルを摂っているおかげで冷静でいられた。もし私が怒りに我を忘れたら、多くの機会で十分そうなる理由はあったが、私の行動は目標に対して悪い方向に働いていただろう。オイルが平常心を保ち、それが可能だと夢にも思わなかったことを、度々私にさせたのだった。これは生きるか死ぬかの戦いだ。そしてもし、この目的の為に死んだとしたら、それが本望だといえるだろう。このオイルは私の人生を取り戻してくれた。その人生は過去のものとは違っていたが、より意味のある存在をもたらしてくれた。もし私が真実に気付かず、この治療薬を使っていなかったら、今ここにこうして生きていられたか実際疑わしいのだから。
 2001年までに医療システムは、化学物質で私の脳みそをフライに揚げてしまった。彼らが治療薬と呼んでいる物を摂り続けていたら、たとえ生きていたとしても、どんな姿になっていたか容易に想像がつく。一体誰がどんな権限で、私のような深刻な病状にあった人間に、天然の無害なハーブの使用を否定する権利を持っているのか、さっぱり理解不能だ。否、誰だって理解できないに違いない。人類はまるで何十億ものダチョウだ。頭を砂に突っ込んで一匹ずつ引っこ抜かれるのを待っている。全方位から自分達を攻撃してくるのが何なのか、頭を上げて確認することを拒みつつ。この攻撃者を我々はシステムと呼ぶ。言葉の響きは良いが、本当は地球上で最も破壊的で、致死性の力を持っているのだ。現在、人類に対して行われていることは、あからさまな虐殺としか言いようのないものだ。それでも、砂の中に頭を突っ込んでいれば、危機は過ぎ去ってくれるかもしれない、と思う人もいるだろう。恐らく、かなりの数の人達がこの仮定の下、我々が置かれている状況に対処しようとしているのだ。もし皆が、未来には全てがうまく行っているはずだから、現在のシステムに任せておくべきだ、と本気で考えているのなら、後は何をか言わんやである。
 私が思うに、このような考え方の人間の脳は、藁の詰め物と同じである。明らかに彼らは、常識も論理的思考能力も持ち合わせていない。我々の未来がどんなものになるのか、その輝かしい例は、モンサントのような企業の活動に表れている。彼らが土地を汚染し、食糧供給を遺伝子操作する権利があると、誰が考えているのだろうか。彼らがそんな事をするのを許すのは狂気の沙汰だし、人類にとって何の得にもならない。人が命を繋ぎ健康を維持するには、栄養価の高い食物が不可欠だ。しかし現実では、モンサントのような会社が、これと正反対の物を提供したがっているように見える。このような狂気の企業活動が続くのを許せば、時をおかず、我々皆が苦しむ結果となるだろう。
 加えてシステムは、自然食品を駆逐するコーデックス、食品安全規格を施行し、人体が必要とする栄養素やビタミン類の入手を人々に禁止しようとしている。これは一般大衆がより多くの健康問題を抱えるように仕向け、そうすることで、さらに医療の介入が必要となることを確実にするだろう。これは製薬会社にさらに多くの利益をもたらし、社会は今より多くの医師を必要とすることになるが、社会にとって、果たしてそれが利益になるのだろうか?システムが行おうとしていることは、単なる虐殺の一形態に過ぎないのだ。これをnutricideニュートリサイド(栄養のnutrientと虐殺のgenocideの造語)と名付けた者もいる。それを何と呼ぼうが、今行われていることは、多くの苦しみと死を呼ぶものとなるだろうし、今のところ私はそれを止めるべきだと考えている。
 私がこのオイルを患者に提供し始めたとき、同じ事をしている人間が、他にも沢山いるだろうと考えていた。この植物には薬としての長い歴史と、何億人もの人達が、世界規模で日常的に大麻を消費し、かつ栽培しているという事実があるのに、私が発見したような非常にシンプルなことが、今まで気付かれずにいられたのだろうか。しかし、時が経つにつれ私は、自分がこれを発見したのだ、ということに気づき始め、直ぐに豊富な資金と権力を持っている人間達によって隠されてきたのだ、と気が付いた。ご存じのように最初は孤独で、もしかしたら危ない立場に自分を置いていたのかもしれない。このような真実を暴こうとした人間は、しばしば、奇妙な死に方をし、姿を消すものだ。大概、人々はこのようなことを話すのを好まないが、そんなことは有り得ないと言い切れる人はいない。そんなこともあって、ラファエル・メコーラムやルミール・ハヌス等のこの分野の専門家達が、この件に関して積極的に発言し始めたことを知ったときは、嬉しさも一入だった。私のしていることに対する裏付けは、日々増えているようだったし、研究は発展し続けているようだった。
 だが最近になっても、人々が「科学的証拠、エビデンスが無い」といったナンセンスを開帳するのを耳にする。世界中で最も偉大な専門家達や大麻研究者達が、私の立場を裏付けるために立ち上がっているにも関わらずだ。秀逸な大麻関連出版も、適切に精製されたヘンプオイルが持つ、奇跡的な治癒力について記事にしている。これらの大手の出版社が、盲目的に私の言葉だけを頼りにして、大々的に記事を組むだろうか?さらには、私の話が事実に基づいていないとしたら、私のような大麻解放運動において無名の輩が、カナビスカップでハイタイムズ紙が選ぶFreedom Fighter of the Year(本年の自由の闘士)賞を授かるだろうか。もしあなたが科学的証拠を欲するなら、単純にPubMedをGoogleで検索し、cannabinoids and cancer (カナビノイドと癌)と打ち込んでみたら良い。それであなたの科学的な懸念は解決されるはずだ。
 ヘンプオイルで自分達の病気を治療した人達に関する医療記録が少ないことについて、医療システムは大いに貢献してきた。彼らはそのような情報を開示することに、協力的というには程遠い対応をする。彼らは本来、社会に仕えなければならないはずであり、人々にとって正しいことをする義務があるはずだが、彼らの関心は、専ら自分達の仕事と、その社会的地位の維持にあるようだ。彼らがシステムを助け、真実を隠しておけばおくほど、彼らは懐を暖かくしておくことができ、今ある権威を継続できる。カナダをはじめとして、世界中の主な場所で現在行われている医療システムは、患者を助けるようにできていない。結果、彼らのゴールは正反対のものに見える。もし誰か、私が間違っていると証明したいなら、是非試みていただきたい。証拠は目の前に揃っている、これで反対の事を信じられる人間がいるとは、私には到底思えない。